ふじの治療室

犬と鍼灸師

足の重要性


裸足の生活が少なくなると物をつかむための横のアーチが活用されず、アーチが低平化してくる、つまり落ちてくるのである。


ーー『ひ弱になる日本人の足』近藤四郎



 



外反母趾の予防法としては、なるべく裸足で凸凹のある地面を歩いたり、青竹踏みなどを始終することが肝要である。



足指で地面(床)を踏ん張るトレーニングをすることは扁平足予防になる。そして、高齢の方の転倒予防にもなる。もっとも良いのは自然歩道を裸足で歩くこと。凸凹のある道や傾斜面を歩けば、自然と内返し外返しなどの動きを要求されて、バランスをとりながら歩くことになるので、足は自ずから強くなる。裸足が一番良いけど、ほとんどの人が嫌でしょう。私も嫌です。裸足が無理なら、素足で靴を履く。素足で靴を履くのも無理なら五本指ソックス。とにかく指で地面を掴むということができないと、目的である「足の蹴り出しを強くする」が達成できません。普段の生活では出勤する道路も会社の床も平面で、その上を靴を履いて歩いている。足の内返しも外返しも必要なく歩いて行ける。必要もなければ体は必要ないと判断する。内返し外返しに必要な筋肉は弱化して足は退化していきます。

 


なぜこんなにも鍛えることを勧めるかといえば、主訴の腰痛や肩こりのついでに『扁平足』や『外反母趾』をどうにかしてくれと依頼されることが非常に多いのだけど、ついでに直せるようなレベルのものばかりではないから。足鍛えてください。鍛えてある足なら“ついで”でもなんとかできる可能性が上がりますから。

 


 


『健康法』として良いのは走るよりも歩くことだと私は思います。


1日に少なくとも40分以上は続けて歩くといいのだけど、みなさん「ただ長く歩く」ということに抵抗があるようで、なかなかやれない。多くの方に進めてるが、多くの方がやらないということを経験上知っているので、本当は40分以上がいいのだが「30分…いや、20分でいいですよ。10分で歩いて行ける場所を決めてそこから帰ってくるだけでいいんですよ」というようになってしまった。理想の半分になってしまったが、これによって歩き始めた方が増えたのだ。そして、歩く習慣さえ植えつければ「10分じゃ物足りなくなって来たから、距離を伸ばしたよ」と言うようになる。歩くのは癖になれば気持ちがいいものです。施術で足の調整に時間をかけてるのはちゃんと歩けるようにするためなので、歩いてもらわないとその実感もしてもらえない。本人が実感できなければどんな施術も意味がない。


 


なぜ高齢になるとよろけやすくなるのか?


若いうちは足の内返し外返しがよくできて足の運動範囲が広いが、高齢になると足首で背屈底屈と言う直線運動しかできないから。と言うのが答えです。


統計ではだいたい55歳くらいで足の内返し外返しの「あおり」が徐々になくなっていき、踵から爪先へと直線的に着地するようになる。また、バランスを取るために足裏全体を地面につけて、歩幅を小さくして歩くようになっていく。踵から爪先へと着地するのは若い人でも同じだが、歩幅が狭く、摺り足のようになる。


 


要するに、人間は高齢になると足の蹴り出しの力が弱くなる 


 


 



どんなに文明が進歩しようと、医学が進歩しようと、足が弱ると人間はやがて死ぬと言う事実に変わりはない。



 


ここまで高齢の方だけに向けて書いているようだが、現代では若い人にも該当するようになってしまっている。結局のところ、歩かないで椅子に座ってばかりいれば、足は弱ってその機能は死んでしまう。


 


新石器時代以降から戦争後までの人の寿命は50有余年、足の寿命=平均寿命の時代なら良かったが、いろんな恩恵を受けて現在の寿命は約30年も伸びている。それは喜ばしいことだが、同時に足の寿命も伸ばさないといけないと言うことになる。ウチにくる方達の多くが「ピンピンコロリが良いわよね」と仰るが、ピンピンコロリを成し遂げるにはそれ相応の努力が必要なんですね。それともまた別の『なにか』の登場によって足の寿命が延びるなんてことがあるのだろうか。