ふじの治療室

犬と鍼灸師

胆石の消失

コロナが日本に忍び寄ってきていたあたりの2年前の2月初旬、マスクしたほうがいいかな?なんて考えていたあの頃。私は背中の痛みを誤魔化しながら働く日々を送っていた。私にとって、お腹や背中の痛みというのは昔からよくあることであり、病院に行けば「何もありません」と言われて痛み止めを処方されて帰るのが子供の頃からのお決まり。最近は自分でケアすることですっかりなくなっていたものの、今回も久しぶりの“それ”だろうと思っていました。

 


が、しかし、異変は目と皮膚に現れました。全身真っ黄色。そう、黄疸です。その姿を見た私は「あ、もうダメだ…」こういう時に知識は私に絶望を与えます。背中の痛み、食欲不振、体重減少、そして黄疸…。膵臓、もしくは肝臓の病気だろうか…。おそらく、良くない類のものだろうな…。

 


救急へ連れて行かれ、即入院決定。抗生剤を打ってもらい、少し落ち着きます。改めてお医者さんから説明を受け、その段階では総胆管を何かが塞いでおり、肝臓がオーバーヒートして菌が全身に回ってしまっている状況。その何かがわからないので精密検査を行うとのこと。私自身、自分に胆石ができるなんてことは全く考えておらず、“なにか良くないもの”が塞いでいるのだろうと思い込んでいたので落ち込みました。そういう状態の方を何人か見てきていることが大きかったんでしょう。後で聞くと担当医師のかたも同じように思っていたようです。

 


と、悲劇のように書いてますが検査結果は胆石症。治療法は胆嚢の摘出。2ヶ月後に腹腔鏡手術をして胆嚢も問題なく摘出されて、これからは他人の身体だけでなく自分の体も大事にしなければいけないなぁ(施術感と身体感が大きく変わっていくきっかけになりました)。めでたしめでたし。

 


3ヶ月後。再検査。「ありますね…石」とお医者さん。「え?」と大きな声を出してしまう私。ということでまた入院。今度は内視鏡手術で一泊二日。なんてことだろう。もっと引き締めて運動食事など生活習慣を改めなければ…。

 


3ヶ月後。再検査。「またありますね…石」とお医者さん。「…」言葉が出ない私。そしてまた入院&内視鏡手術。看護師さんとも顔見知りになり「あらまた来ちゃったんですか?」「きちゃいましたー」「癖になってきてるのかなぁ」ク、クセ?

 


3ヶ月後。再検査。「またあるんですよね…石」とお医者さん。流石にこう何度も入院してられません。ここまで治療費で30万円ほどかかっている中で、コロナで仕事も影響受けまくっています。「ちょっと様子見ていいですか?」と聞くと「そうですよね…わかりました」お医者さんも申し訳なさそうにそう言ってくれました。

 


自分も治療家の端くれ。自分で治す方法を試してみよう。

 


まず、病院で処方された経口薬のウルソデオキシコール酸を3ヶ月朝昼晩2錠ずつ飲み続けてみました。3ヶ月後の再検査は、胆石はそのまま大きくもならず、場所を動くこともなく鎮座しているとのこと。

 

次に試すのは経絡ストレッチ。東洋医学でいう胆経と肝経のラインを伸ばすためのストレッチを3ヶ月やってみました。たぶんダメだろうなとは思いましたが、3ヶ月後の再検査ではもちろん鎮座。今の所、症状は特にありません。

 

次に試したのが鍼灸。誰か他のプロに治療を求めればよかったのでしょうが、どうしても自分でやりたかったので背中の施術ができない。手足のツボを使っての施術となりました。ということで3ヶ月後、鎮座でした。全力を出させてあげられなかった鍼灸にすまない気持ちです。この時にお医者さんから「このまま過ごしても変わらないままですし、また痛みが起きたら大変ですからそろそろ…」と手術をせっつかれますが「そうですね…でももうちょっと待ってください!」と半ば強引に帰ってきました。そろそろ結果が欲しいところです。

 

そして、結果の欲しいところで行なった最後の方法は身体均整法の「胆石疝痛の克復法」です。

第9胸椎右横突起の圧痛部に強圧をすることでお腹がグルグルとなりだし胆管が開いて石が流れていく。



と書いてあります。背中ですので手では無理です。足ツボ用に買ったゴルフボールをあったので、その部に当たるように床に仰向けになります。「ここら辺かな…ん?…あ、痛い!ここだ!」強圧すること1分。本当にグルグルとお腹がなり始めます。しかし、石が流れたかどうかなんてわかりません。とにかくこれを3ヶ月の間で何度もやってみました。そして再検査。「何故かですね…無くなってますね…」とお医者さん。「あ、本当ですか。良かったです」心の中では雄叫びガッツポーズ。こうして2年に渡る胆石との付き合いが終わりました。最初の緊急入院以降は特に症状もなかったので、手術も含めて本当に面白い経験となりましたし、良い勉強になりました。



 

ちなみに第4胸椎右横突起圧痛部に強圧すると胆管が収縮して逆効果になるとのことで注意が必要です。人間の身体、なんて面白いんだ。